
素因について
みなさんこんにちは!おさきまるです。
今日は東洋医学のお勉強のお時間です。
本日の話題は素因について。
素因とは、ある結果を生じさせるための根本的な原因や要因のことをいいます。
医学分野では、病気や性格形成の基本的な要素指すことが多いです。
簡単に言えば体質のこと。
素因の理解を深めれば物事の背景にある要因を見極め、
改善策を考えることが出来ます。
病にかかった時も同様に証で分けることが出来ます。(素因証)
素因証は病症が現れていなくても表す証のことで、
漢方医学では明確な症状が現れていなくても、
診察によって何らかの変化を読み取り、証を決めることが出来ます。
この素因証に病症(内因、外因、不内外因)が加わり、
どのような経過を経て現在の病症が現れたかを考えることによって、
より細かい証の考察が出来、治療や予後判定の参考になるんです。
病を考えていくうえで素因を考慮することは大切ですが、
素因に囚われずに現在の病態を診ていくことがより重要になっていきます。
証について
病状を把握し、治療方針を決定するために考え出された分類法が証です。
分類することで治療方針や生活指導を容易にできます。
まずは、寒熱に分けて考えていきます。
病態が冷えの傾向にあるか、熱の傾向にあるかで分けられます。
冷えの傾向があれば陽虚証や慢性傾向にある陰実証が考えられ、
熱の傾向があれば陽実証や陰虚証、陰実証が考えられます。
陽虚証、陽実証、陰虚証、陰実証の四つの四台病型は、
陽気陰気が、どの場所に過不足があるかを示します。
四台病型が決まったら五臓ごとに病症を分類した基本証の分類をします。
・陽実証
病理;陽の部位である陽経、腑および肺に陽気が充満停滞した証
特徴;熱症状が主
症状;発熱、悪寒、午後熱が高くなる、口喝、便秘、食欲旺盛
基本証;脾虚陽実証、肺虚陽実証
・陽虚証
病理;臓の陽気が不足したために、陽経、腑および肺の陽気も不足した証
特徴;寒症状が主。
症状;手足の冷え、全身の冷え、冷えると悪化、下痢、食欲不振、動かず汗が出る、
活動力低下、小便の量は少ないが回数が多い、顔面蒼白、唇の色が白い、
陽気が全くなくなったわけではないので、微熱や突発的な高熱が出ることもある
基本証;肝虚陽虚証、脾虚陽虚証、肺虚陽虚証、腎虚陽虚証
・陰虚証
病理;陰の部位にある臓の陰気が不足し、虚熱が発生した証
特徴;熱症状が主だが陽実証より激しくない。
症状;のぼせ、不眠、口喝、動悸、息切れ、便秘、小便の量は多いが気持ちよく出ない、
食欲はある、寝汗、浮腫、手足のほてり、足は冷えるが手はほてる
基本証;肝虚陰虚証、脾虚陰虚証、腎虚陰虚証
・陰実証
病理;陰の部位の肝に血や熱が充満停滞した証
特徴;肝の症状が多く、自律神経失調症、更年期障害など不定愁訴が多い
症状;固定痛、夜間痛、刺痛、唇の色が黒っぽい、皮膚全体が浅黒い、
肩甲骨内側から首筋にかけてよくこる、便秘傾向であるが小便はよく出る
足は冷えるが手はほてる
基本証;脾虚肝実証、肺虚肝実証
基本証
①肺虚証(陽実、陽虚、肝実、肝虚肺燥)
肺の精気が不足すると肺の宣発粛降作用が失調し病症を現します。
肺気が失調し表の腠理が閉じて、熱が表及び肺に充満停滞する肺虚陽実証。
肺気が失調し表の腠理が開いたままになり、陽気不足で冷える肺虚陽虚証。
肺に陰虚証はありませんが、肝虚陰虚証の虚熱が肺に波及し病症を現す肝虚肺燥証。
肺の気を巡らす作用の低下により気血津液の停滞を招き、
長期にわたることで肝の疏泄作用が低下し血が停滞して瘀血を形成し、
瘀血による実熱によって腎の津液を消耗し、結果的に腎の精気も不足させて、
腎の津液および精気を不足させる肺虚肝実証があります。
肺虚証特有の病症は、
風邪症状、咽頭痛、目の充血、鼻の病症、湿疹などがあります。
②脾虚証(陽実、陽虚、陰虚、肝実)
脾の精気が不足すると、脾胃の運化、昇清、降濁作用が失調し、
気血津液の生成、運搬の働きが低下し様々な病症を現します。
脾虚証は四台病型全てが当てはまります。
脾の精気が不足し陽明経および胃腸に熱が充満停滞している脾虚陽実証。
脾にある津液が不足し虚熱症状が現れた脾虚陰虚証。
胃の陽気が不足し冷えの症状が現れる脾虚陽虚証。
脾の精気が不足し日の運化、昇清作用が失調すると、
気の流れが停滞し肝胆の疏泄作用も停滞することによって起こる、
脾虚肝実証があります。
脾虚証特有の病症は、
腹満、腹痛、手足のだるさ、全身倦怠感、食欲不振、味がわからない、
腹痛のある下痢、吐き気、嘔吐、前頭部痛、咽頭痛、目の充血、眼瞼のただれ、
鼻づまり、鼻炎、蓄膿症、鼻たけ、口内炎、肩こり、腰痛、
だるさ、関節痛、痔腸、子宮からの出血などがあります。
③肝虚証(陰虚証、陽虚証)
肝の精気が不足し蔵血作用の失調により病症を現します。(血虚)
更に病症を細かく分けると、血に含まれる津液が不足し虚熱が発生する肝虚陰虚証。
血そのものが不足し冷えの症状を現す脾虚陽虚証があります。
肝虚証特有の症状は、
睾丸のひきつけ、舌が回りにくい、筋肉の引きつりや痛み、筋肉のけいれん、
食欲はないが食べると普通の量食べられる、イライラ、
頭痛、頭重、眩暈、立ち眩み、不眠、目の病症、肩こり、腰痛、
ため息が出やすい、寒熱往来、耳鳴り、月経不順、月経痛、不妊症などがあります。
④腎虚証
腎の精気が不足し津液を司る作用が失調すると、
腎を蔵する腎陰である津液が不足した腎虚陰虚証。
腎陰不足からさらに腎陽である命門の火の不足まで至った腎虚陽虚証があります。
腎虚証特有の病症は、
賁豚気(ほんとんき腹の中で空気の塊が上へ上へと昇って行くような感覚になる)
奔豚気(腹部から胸、のどに何か突き上げる感じ)、
腰の冷え痛み、腹痛のない下痢、頭重、健忘、認知証、耳鳴り、難聴、
咽痛、肩こり、寝つきはよいが早く目覚める、動悸、息切れなどがあります。
⑤肝実証
肝実証は陰実証のことで、
肝に血あるいは熱が充満停滞した証です。
現代はストレスになるものが多く、常に気を労しやすい環境にあり、
慢性的な気虚になっている人はかなり多いです。
ストレスは肝の感情である怒りを生じやすく、
また容易に発散できないことも多いため、肝に負担がかかりがちになります。
肝に怒りを抱えるため肝血が停滞し肝が実して熱をもちやすくなります。
肝実になる他の原因は欧米型の食生活によるタンパク質、
脂肪などの過剰摂取や、添加物による負担。
また、デスクワークなどによる運動不足によって、
更に気血を停滞しやすくし、肝実証が増えます。
肝実証特有の病症は、
頭痛、耳鳴り、めまい、不眠、多夢、動悸、息切れ、喘息、
便秘、腰痛、関節痛、月経不順、月経痛、往来寒熱などがあります。
素因で体質診断
素因を今日はご紹介しました。
素因を大まかにでも知っておくことで、
自分自身が元々持っている体質を知ることが出来るようになります。
体質を知ることで、どんな不調が出やすいなどの傾向もわかるようになるので、
食や生活習慣や自分の癖を見直すことで、
体調不良の予防が出来るようになります。
素因に病因が加わって不調を招くので、
素因が絶対的であるわけではありませんが、
ある程度参考になると思いますので、
自分の体質を診断してみてくださいね!!
それでは今日はこの辺で。
またね~
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